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2階の応接室へ行くと、既にお兄様とフォンティナか準備をしていた。
お兄様の顔色は真っ青で、いつもの様にわたくしに飛び付きスキンシップを取る余裕もなさそうな顔をしていた。
「おはようマリアちゃん…久しぶりだね」
「おはようございます。お兄様。フォンティナもおはよう」
「おう、おはようさん」
「ところでマリアちゃん…。フォンティナから聞いたが、また何かしでかすつもりかい…?お兄ちゃん、もう胃がもたないよ…?」
フォンティナはお兄様に今回の件をどう伝えたのかしら…
「フォンティナ?あなたお兄様に何を言ったのですか?」
「ん?ああ、姉貴がラスベイガンスに喧嘩を売るから、その資金を準備しろと言ったが?」
「こぉぉぉんのバカチンがぁぁぁ!!!」
「グハァァァ!!」
殴られ吹き飛ぶフォンティナを見て、隣に立つマルがガタガタ震えながらわたくしを見ていた。
「お金の準備は確かに言いましたけども!別にわたくしはラスベイガンス公国に喧嘩を売る訳じゃ御座いませんわよ!」
「そ…そうなのかい…?マリア」
「そうですわよ!お兄様には今からご説明致しますわ!」
わたくしの説明で、お兄様は安心したかの様に胸を撫で下ろし、顔色も良くなってきた。
「わかった。取り敢えず、金は5000万Gを準備した。これを貸すのはやぶさかではないが…マリアちゃん…それでだ…」
「ありがとうございますお兄様。それでなんですの?」
「うむ。それで、1つ約束して欲しいのだが、絶対に揉め事だけは避けてくれよ?」
「当たり前です。わたくしも今やガルバルト国のラーグ領主の身。ミーナ陛下へ恥はかかせられませんから」
「そうだな。それを理解してるなら問題あるまい。アリシアの為だしな、さぁ持っていきなさい」
「はい。でも、まるひよこが予想通りにギャンブルで借金を作り、めぴこちゃんやオーエルンを泣かせていた場合は…」
「場合は…?」
「反省して泣くまで殴り付けようかと思ってます」
わたしの言動にガタガタ震えるマルに、鼻血を出しながら起き上がったフォンティナがマルの肩を叩いて言った。
「お前さんの主は、怒らせたら本当に怖いからな…?見ろ、あのジト目を…。あの目をしてる時は、なるべく近寄るなよ…?」
「は…はい…。ご忠告、感謝致します…フォンティナ様…」
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