マリアさん大激怒の巻き

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「それでは言って参りますわ」 「おう。姉貴、程々にな」 金貨を受け取り、お兄様とフォンティナへお辞儀をして部屋を出… おっと、部屋を出る前にマルに話をしなくてはいけませんね。 「マル、お話があります」 「な、なんでしょうか!マリア様」 「わたくしの旅の間ですが、テンクイの元でメイドのお勉強をされてはいかがでしょうか?きっとあなたの教養の為にもなると思いますの」 「……えっ?」 なぜでしょう? マルが悲しい顔をするのは… 「わたしが一緒では、マリア様の邪魔になりますか…?」 「いえ、そう意味では御座いませんわ。短い期間ではありますが、テンクイに教わる事はあなたの為になると思いますの。わたくしではメイドの全ては教えきれませんもの」 「邪魔…ではないのですね…?」 「ええ。決してその様には思ってはおりません。が、とても良い機会だとは思っております」 正直言えば、ガルバルトの田舎育ちで、他の国々や街を知らないマルを連れて色々見せてあげたい気持ちもあります。 ですが、まだ職の少ないガルバルトでマルの将来を考えれば、一流のメイドとして成長し、いずれは陛下の元で仕事ができる成長を願ってもいるのです。この成長の機会と旅を天秤に掛ければ…やはりテンクイの元で修行をさせた方が、マルの為になると思うのですが… 「わかりました…マリア様…。なら一緒に行きます」 「そうですか。わかって貰え……はぃ?」 「ご迷惑ではないのでしょ?なら一緒に。マリア様の世話はわたしの仕事。離れる訳にはいきません!」 小さな体で毅然とした態度で、マルは言った。 「ですが…」 説得をしようとマルと同じ目線まで腰を屈めると、マルの横にテンクイが立ち並んだ。 どうやらテンクイも説得してくれそうです。 「マル…」 「はい、なんでしょうテンクイさん」 「良く言いました!」 あれ?て…テンクイ? 「主の役に立ちたい!主につかえたい!それこそメイドに1番必要な心構え!わたくしが見所があると睨んだ通り!100点の答えでしたマル!」 そんな力強く拳まで握りしめて… 「はい!ありがとうございます!」 「テンクイ…?あなたも賛成ではなかったのですか?」 「いえ、マリアお嬢様。わたくしは一言も賛成などと言ってませんが。見所があると言ったまでです。そしてやっぱりわたしの睨んだ通りの答えを、マルが示しただけの事ですがなにか?」
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