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「マル。これはわたしが以前使っていたマジカル衣装ケースです。ラハルト家メイド隊の御用達アイテムです。荷物がたくさん入り、持ち運びも重さを感じないので、とても楽になると思います。お古ではありますが、お使いなさい」
「ありがとうございます!大事に使わせて頂きます!」
「このアイテムを持つあなたは、もうラハルト家メイド隊のわたしの部下も同然。マリアお嬢様を宜しく頼みましたわよ?お嬢様のお気に入りのティーセットは既にバックに入ってます。それもお使いなさい」
「はい!」
わたくしなど二人の視界には入っていない様に、話がどんどん進みますね…
「あの…テンクイ…?」
「なんでしょうお嬢様。あ、お気に入りの食器セットもですか?すぐに準備致し、マルに持たせます」
「いや…そうじゃなくてですね…?」
「マリア様!旅の間の美味しいお茶は、このマルにお任せ下さい!」
「あ、いやマルも、そうじゃなくてですね…」
このやりとりをお兄様もフォンティナも大爆笑で見ていますが…
「マリアちゃん、もう諦めなさい。そのチビメイドは、絶対に引かないと思うぞ?」
「そうだな。兄貴の言うとおりだ。そのマルは、姉貴より頑固だと思うしな」
と、言うわけで…
現在、鐘の広場の馬車停にいるわたし達です。
「マリア様!ラスベイガンス公国行きのチケットを取りました!まずはアクアリウスまで行き、本日は1泊致します。さ、あの黄色の馬車へ」
「は、はい…。マル、ご苦労様」
一緒にラスベイガンスへ行く事になりました。
「ところでマリア様。お仕事着じゃなく、なぜ鎧のお姿に?」
マルはわたくしの本当の仕事は冒険者で特別討伐隊だと知らないのですよね…
特に今まで言う必要もなかったですし…
「この方がわたくしが安心なのですよ」
戦えないマルを守りながらの旅ですしね。
めぴこちゃんとの旅よりも数十倍の緊張感ですわ…
なんやかんや言っても、めぴこちゃんも冒険者として経験豊富な一流の腕前でしたし…
「でも馬車には冒険者さんがおりますし安心では?それに付け焼き刃の剣なんて危険ではありませんか?」
「あはは…。まぁ、そうかも知れませんね…」
マルは本当のわたしを知る良い機会にもなるのかもしれませんね。
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