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馬車に揺られる事半日。
お昼の休憩の為に漁村のロソン村に馬車は停まる。
「マル…具合はどうですか…?」
「すびばせん…マリ…アさ…うぇぇぇ…」
体調が悪かったのか、乗り物酔いになりマルはラハルトを出てから真っ青な顔をしていた。
「どうしましょうか…」
「マリア様は…予定通り…お昼を召し上がってうぇぇぇ…」
こんなマルをほおっては行けませんよ…
こんな時マロンでも居れば、良い薬を持っていると思うのですが…
「わかりました。では暫く馬車の中で1人で寝て休んでいられますか?」
「申し訳ありません…マリア様…。本当ならお側に…」
「構いませんわよ」
マルを馬車に残して、わたくしはロソンの道具屋を探して歩いた。
漁村の人に道を訪ねて、この村で一軒だけという道具屋をようやく見つけて店の中へと入った。
「すみません!お店の方はいらっしゃるかしら?」
古いレンガ作りで、蔦が絡み付く壁にボロボロの扉。
なんとも風情がある建物の道具屋だ。
「すみませーんにどなたか!」
「はいはい、聞こえてるよ」
店の奧から老婆がにこやかな笑顔でやってきた。
「こちらに乗り物酔いの薬はございませんか?」
「乗り物酔いかい?ちょっと待っておくれ」
そう言って、黄色の液体の入った小瓶を手渡してくる。
「一応、これが乗り物酔いの薬なんじゃが、どの程度の乗り物酔いなんだい?」
「はい、吐いて食事も出来ない程です」
「そんなにひどいのかい?それなら…こっちじゃな」
言いながら、紫の液体入りの小瓶を手渡してきた。
「こっちの紫のは、ヤタニタ草を10日煮込んだ物に、ラピスラの実を砕いて干して粉にした物で調合した薬じゃて。乗り物酔いと吐き気を抑えてくれる」
「では、それを20本下さい」
「ありがとうよ。15000Gじゃが良いか?」
「はい、構いません」
薬を手に馬車へ戻ると、マルは少し楽になったのか寝息を立てて椅子に横になっていた。
「寝ていても、バッグは手離さないのですわね…」
テンクイから譲り受けたバッグを大事そうに抱えて眠るマルの寝顔を見たあと、近くの露店でお弁当をを2つ購入して、馬車に戻って出発を待った。
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