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隣のマリアさんの足元へと目線をやると、マルと呼ばれてる小さなメイドがそう言った。
「は?なんだこのちびっこ」
まるひよこさんの問いに、マリアさんが答えた。
「紹介が遅れましたわ。この子はラーグでわたしの専属メイドをして貰っているマルですわ。それでマル、あなたはいま何故そんな事を…って…あぁ…なるほど…」
「お気付きになりましたか?マリア様。先程からのお話を纏めると、出来たばかりの傷ならば治す魔法があるなら、いっそ出来たばかりの傷にしてしまえば良いのかと思いまして」
一瞬の間のあとに、まるひよこさんが唸りながらオーエルンにちょっかいをかけた。
「い、いまわたしもそう言おうとした!なっ?オーエルン」
「え!まるひよこおねぇさまは困っていだだだだ!はい!おっしゃる通りですから唇を引っ張るのは止めてください!」
悔しかったんだな、多分…
「でも火傷を負わすとなると、まるひよこさんが魔法の火で焼くのですか?人を?」
「それしかないだろう?」
「死にません?普通に考えたら、フォンティナさんならまだしも…」
「死ぬかもな?」
駄目じゃん…
この作戦も駄目じゃん…
「でもな、あたしは優秀なアークメイジだからな。要するに皮膚だけを焼けばいいんだろ?魔力を調整して魔法を撃つなんて造作もないことよ」
「確かにその点においては心配は要りませんわね。ただ全身を一気に焼いたら、それこそショックで今度こそ死んでしまいますわ。ですから…」
「手、足、背中、顔の部位単位で焼いてはヒールの繰り返しって事ですか?」
「そうなりますわね」
「て事は、何度も何度も痛みを味わわせる事になるのでは…?」
「そうなりますわね」
これは倫理観で言えば、絶対にしちゃいけない事だ…
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