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─ジャギコの部屋の外─
「どうなってるんだ!またラフェイリの叫び声が聞こえるぞ!お前の仲間は娘に一体何をしてる!そこをどけっ!」
扉の前に陣取り、かれこれ30分は経ちましたでしょうか?
「お嬢様!お嬢様ご無事ですか!貴様そこをどけっ!」
護衛のエーコさんと申しましたでしょうか?
さほど強くはないとは言え、さすがに剣の使い手の方から30分も殴られると痛いですわね…
しかしこの程度のダメージで倒れる無様な姿なんて、中のまるひよこには見せられませんわ。
わたしは防御が得意なロイヤルナイトなんです。
硬い鋼のような防御力が売りなのです。
部屋を出るときから覚悟はしていました。
この部屋からは焼かれた苦しみに絶叫をするラフェイリの声が絶えず聞こえてくるだろうと。
そしてそれを聞いた家族は、どんな事をしても中へ入ろうとするだろうと。
当然ですわ…
愛しい家族の絶叫が聞こえたら、だれでもそうしますわ。
ですがわたくしは、ここを通す訳にはいかないのです。
絶叫なんかより、もっと酷い光景を見せることになってしまいますから。
その光景はきっと家族には耐えられないでしょう。
目の前で愛しい家族が生きたまま焼かれているのですから。
ですから、いまはわたくしを憎みなさい。
ここを通さないわたくしを。
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