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「なんだめぴこ。口尖らせて、随分とご機嫌ナナメだな?」
からかう様にそう声をかけるまるひよこさんに、わたしは少々ムキななって話をした。
「そりゃそうですよ…。洞窟を出られたのは、マリアさんのお金のおかげですし、そもそもカジノで負けたお金は戻ってこないのですよ?それにいくらマリアさんから借りたとは言え、きちんと返さないといけないのに…。借金が無くなった訳じゃないんですよ?しかも今回の洞窟は、エンドゥさんの高利貸しの罠のおかげでもあるのに…。ラフェイリさんには申し訳ないけど、わたしは好きにはなれません」
部屋の中は、わたしの言葉のせいか静寂が訪れた。
重苦し雰囲気が流れる部屋の中で、最初に口を開いたのはエンドゥだった。
「そうだな…。めぴこさんの言い分はもっともだ。だが少しだけ話を聞いて欲しい」
そう言いながら、わたしの対面へとエンドゥは席を移した。
「今回、ラフェイリの姿を元に戻してもらう時に、わたしは君に約束をしていたのを覚えているかい?」
約束…?
「覚えてないのだね。ではもう1度言おう。ラフェイリが無事に治ったら、わたしは稼業をやめて洞窟の住人のすべての借金を無かった事にすると約束した」
「無かった事に?」
「そうだ。すでに無かった事にして、全員を解放した。その中には、君達も入っている。だからマリアさんから預かったお金も既に返した。そして貸金業も今朝廃業してきた。あともう1つの約束をしていた」
「もう1つの約束…?」
「ああ。親父と娘と三人で、野菜でも作りながらのんびりと暮らす約束だ。。だからラスベイガンスをでて、マリア様の納めるガルバルトのラーグ領へと引っ越す事にしたんだ。そこで湖畔の別荘地に家を買い、親父達と自然豊かな場所で三人で仲良く暮らすのさ」
おじいさんとラフェイリは幸せそうに笑い、まるひよこさんも微笑みながら話を聞いていた。
そしてマリアさんはエーコ達を呼び寄せて言う。
「彼女達はガルバルトの城で衛兵をする事になりました。人手不足のおり、女性の衛兵が居なかったので、陛下の為に女性の衛兵が欲しかった為にスカウトしました」
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