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玄関の外でまるひよこさんの困った状況を話すと、苦笑いをしながらマリアさんは言った。
「まさかジョーくんが今日来るとは思いませんでしたわ」
「どっかのパーティーの帰りなんですかね?」
「いえ、実は…」
マリアさんは洞窟にいるわたし達を迎えにくる最中に起きた事を教えてくれた。
「じゃあジョーさんは既に知っていると?」
「はい。知らないふりをしているだけですわ。こうなると思ってましたし、知っていると知られたら、あの子はきっと夜逃げしますわ」
乙女だ…
どんだけ乙女なんだ…
「マリアおねぇさま?それとあの正装にどんな関係があるのです?」
「わっ!オーエルンいたの!」
「いましたよ…ずっと…」
マリアさんはオーエルンの頭を撫でながら、意味深な笑顔を浮かべる。
「実はですね…」
「はい…」
ニヤニヤとしながら交互に見つめるマリアさん。
さて、どんな話が飛び出すのやら…
「内緒です」
ズコー
「まぁわたくしがなんとかしますわ。予定通り、ミニケルベを討伐にいきましょう。あれが街に出てくる方が大変な事になりますわ」
と言いながら、部屋へと戻っていった。
そしてマリアさんは大きな声で、まるひよこさんにも聞こえるように言った。
「じゃ今日はまるひよこ抜きで討伐にいきましょう!ジョーくんも一緒に!討伐後は、まるひよこ抜きで、みんなで楽しく打ち上げをしましょう!わたくしがご馳走しますわ!まるひよこ抜きで!」
ガタッとまるひよこさんの寝室から音が聞こえたけど、扉が開く様子はない。
「ちょっと待ってマリア!僕は今日は装備がないよ!それにムググググッ」
ジョーさんが何かを言おうとしたとき、マリアさんはジョーさんの口を強引に塞ぎ、物凄い目で睨み付けた。
「あらぁジョーくん!ご心配はいりませんわ?フォンティナ脱いで」
「え!」
「え!じゃない。早く鎧脱いで。あなたはシャツにズボンでいいです」
「ええ!さすがに生身は厳しいぞ!」
「なら後ろで砂遊びでもしてなさい」
「ええ…」
不備だ…
フォンティナさんが不備すぎる…
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