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そんなこんなで依頼の魔物を討伐するために街から出た。
半袖半ズボンで片手に剣を持った小学生みたいな格好をした剣士と、その後ろにはタキシードに鎧を着て片手に花束、逆の手には剣を握りしめてる怪しい男。
更にその後ろにモジモジと下を向きながら歩き、時折溜息をつく黒尽くめの女魔法使い。
そしてその女の顔を見てニヤニヤとご機嫌な顔をする金髪碧眼美女の女剣士。
「なんだこのパーティ…」
思わずつぶやくと、隣ではオーエルンが腕組みしながらウンウンと頷いた。
この状態で依頼の魔物が現れたと言うベンヤさんの洞窟がある森まで行くのは正直恥ずかしくてしんどい…
「おねえさま、すれ違う人たちみんな笑ってますね」
そりゃそうだろうよ…
まあいい。とりあえずわたしは魔物退治の事を考えよう。
今回はミニケロベロスって魔物を倒して欲しいとギルトからフォンティナさんへ依頼があった。
ケロベロスって名前はわたしでも少しは知っている。元の世界での漫画なんかに出てくる頭が三股に別れた犬だ。地獄の番犬とも言われてる魔獣の事。ただ今回のはミニケロベロスで、その地獄の番犬ではないらしい。しかしこの世界では地獄ではなく元々オーエルンが住んでいた魔界にある森に生息しているようだ。そもそも風貌は似ているが、全くの別物の魔物なんだとか。
まず大きさが段違いでミニは熊程度のサイズで、実際は頭が1つでその頭の両側の肩の部分にデカいコブがありそれが頭に見える為にミニケロベロスと名付けられたっぽい。戦闘力も、しばっくまさんの方が強い程なのだとか。
一方本物のケロベロスはその何倍も大きく、三股の頭は各々が凶暴で爪は岩すら切り裂く程の強さなんだとか。
「おねえさま、更に口から火を吹きますよ」
「こっわ!」
実際は旅商人がケルベロスを見たとギルドへ報告をしたそうだか、いかんせん本物のケルベロスがそんな簡単に魔界を抜けて人間の居る森なんかに出てくるわけもない。恐らく焦ってミニケルベロスを見間違いだろうと言う事だった。
まぁそんな訳で今回はみんな気楽におちゃらけて討伐に向かっている。
そしてその恥ずかしいパーティを遠くから追いかけること数時間後…
目の前には10トンダンプくらいの大きさの恐ろしい唸り声をあげてる本物のケルベロスさんと対峙していた…
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