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「おい!こんな装備じゃ絶対に無理だって!!!姉貴なんとかしろって!!!」
「無理ですわ!!!わたくし1人じゃとても止められませんわよ!!!」
なんの手違いでこんなところに本物がいるのかわからないけど、恐ろしい唸り声をあげながら半袖短パンの小学生スタイルのフォンティナさんを追いかけまわし、それをマリアさんがなんとか止めようとしたがあっと言う間に弾き飛ばされてしまった。まるひよこさんが少し離れた場所から魔法をぶっ放すもほとんどダメージは与えられてない様子だ。
「おねえさま!この犬は魔法耐性が高いので物理攻撃が有効です!そして強さ的にはラミアと良い勝負をする魔獣ですよ。魔物なんて可愛いもんじゃなく魔獣ですよ!」
「皆さん!だそうですよ!!!」
ひとまず今のところは大した役にも立ちそうもないわたしとオーエルンは木の上から戦況を眺めることしかできなかった。
「アリシア!一旦引こう!討伐隊を引き連れて討伐の対応をするしかない!」
「そうね!わかったわ」
ならば後衛職のやることは決まった。わたし達は撤退しながら、ケルベロスのヘイトを買って前に引き付けてくれている2人も撤退できる様に補助することだ。
まるひよこさんは周囲の木々に火の魔法を放ち、進路を防ごうと考えたが森が大火事なる可能性がある為に却下。ジョーさんの剣技で足を切り落とす作戦はいつもの大剣じゃないから逆に剣が折れて失敗。わたしのパニッシャーはミリも効かない。
「これ本気でやばいやつじゃん…」
「めぴことアリシアだけでも先に逃げろ。僕があの2人はなんとかする」
「あんたは無理するから駄目!わたしも残る!」
「駄目だよ、君もめぴこと逃げろ」
あーでもない、こーでもないと話をしてる間にも2人はケルベロスに狩られそうになっている。
「おねえさま、おねえさま?」
「何よ、なんか方法は思いついたの?」
「いえ全く。それよりもおねえさま?」
「なによ!いまの状況見てよオーエルン!」
「いやだから上を見て下さいよ」
仕方なく指を指す方向を見ると、それは2人を追いかけるケルベロスの真上だった。
「あーもう!なんだって…の…え、なんであんな所に…?」
ケルベロスの真上には頭から逆向きのツインテールみたいにでっかい角が生えた10歳くらいの女の子がマントを羽織、空中に浮かんで腕組みをしていた。そして少し動いたと思うとそのまま急降下して暴れてるケルベロスの頭3つに素手のまま3つの頭を順番にグーでゲンコツを叩き込んだ。
「うそでしょ…?」
グーをされたケルベロスは頭が全て地面にめり込んで可哀想な姿になっていた。
「ケルン!勝手におうちから出たら駄目だよって言ったでしょ!!!そして人間とじゃれたら人間が死ぬから駄目だとも言ったわよね!?今度脱走したら次はもっとキツイお仕置きだからね!わかったわね!!!」
角の少女はそう言い放ち、頭が土に埋まったケルベロスの尻尾を掴み、空中に持ち上げ地面へ落とした。そしてわたし達と追いかけられてた2人に言った。
「人間の皆様、うちの犬がごめんなさいね。きちんと謝罪したいから近くまで来て頂けないかしら?」
そう言って角少女は続けざまにニコッと笑いながら驚く事を言った。
「申し遅れましたが、わたくし魔王をやってますミスティアと申します。以後お見知りおきを」
いや待って。
これわたし達の旅、終わったくね?
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