マロの止まらない京都観光 #4

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「馬引け! これより武田を討つ!」  信長は叫ぶように命を下すと、たちまちのうちに大軍を率いて出陣した。氏真は鎧兜に身を包んだ信長の横に並んで共に馬を歩ませる。  やがて武田菱の旗印を立てた軍勢が現れ、指呼の間に迫った。 「かかれーっ!」  信長が絶叫すると、織田の大軍は打ち物取って武田勢に襲いかかり、激戦が繰り広げられたが、見る見るうちに織田勢が武田勢を圧倒し、蹴散らした。  勝ち閧を上げた織田勢は駿府まで遮るもののない快進撃を続け、とうとう駿府に着いた。今川館が昔と変わらぬ姿で建っているのが見える。 「さあ、参られよ」  微笑みを浮かべる信長に促されて、懐かしい四脚門をくぐり館の奥の間に入ると、家康が下座に平伏して待っていた。氏真は当たり前の事のように上座に座った。 「御屋形様、とうとう本懐を遂げられましたな……」  家康の眼から涙があふれ出した。 「家康はこの日をお待ちしており申した……」 「おお!」  そうであったのか、家康は桶狭間以来この日のために戦い続けてくれたのか……。氏真の目からも涙が流れ、家康の手を取った……、
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