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雨を見るのが好き。
里に降る雨は、
周りすべてを潤して流れ落ちたあと、
大地に沁みとおる。
目に見える木も草も土も、
すべてが潤って、深い息をついている。
街に降る雨は、
数限りなく丸い雨脚を踊らせて、
無機質なアスファルトを、瑞々しい生き物に変える。
雨に濡れた風景は、
お陽さまに照らされた風景よりもなぜか色鮮やかで、
飛び出す絵本みたいに浮き出してくる。
すぐ近くにあるような、
小さな私でも、手を伸ばせば届くような、
そんな気がするから、
好き。
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