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「だから街には行けない。あの街の人だけが意識を変えてくれたとしても首都の警報装置が解除される事は無いから」
それはそうかもしれない。
他の街の者達は魔法使いが優しい者達だと知らないのだから。
「今は街に結界を張って、街の人達を閉じ込めているフリをしている。だから更に魔法使いへの処遇は厳しくなるだろう」
それを聞いて、何故そんな、と呟けば、街をガラガラで空けておけば良くない輩が荒らし放題だから、と、はじめから俺達を街に返すつもりのような理由を言う。
こんなにも優しいのに、何故人間は魔法使いを疎み、殺さなきゃならないんだろう?
無性に悲しくて、そんな風にした先祖が腹立たしかった。
もう本当に、昔みたいに一緒に居る事は出来ないのか?
考えろ、一緒に居られる方法を。
そう思ってふと我に返る。
何で俺はこんなに必死にラローシュと居たいと願うんだ?
弟だから、と言う理由では弱い気がする。
血を分けた肉親が側に居る方が幸せだと言うのはわかってるんだ。
なのにこの離れ難さは何なのだ。
と。
ダンは幸せに、と淋しそうな顔でラローシュが言う。
その顔を見る限り、ラローシュも一緒に居たいと思ってくれてるんじゃないかと思うのに、あっさり別れを口にするラローシュに苛立った。
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