いち

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それに気付く前に、もう一人の大事な家族に自慢の妻を紹介しようとして、昔住んでいた家に戻った事があった。 12歳の頃、母を無くし親父と2人で出掛けた仕事先の街で、路地に倒れていた綺麗な少年。 彼を拾って、バンと名を与えて、親父と俺は彼を家族に迎え入れた。 それまでは拾われては家の手伝いをして生きてきたと言うバンは、家事は完璧で狩りも出来て勉強も頑張る凄い奴だった。 すっかり家族の一員として俺達の生活を支えてくれたバンだが、何故か森から離れたがらなかった。 だから親父が首都の貴族に雇われ引っ越す事になっても、ハンターとして独り立ちすると言って、その家に残ったのだった。 納得がいかなかったが、親父は俺に、弟を信じてやれ、と言って、バンを残して首都に出た。 だから、ハンターとして暮らしている弟に紹介すると言って尋ねたのだが。 バンは旅に出る所だと、急ぎの用があるからと、挨拶もそこそこに去っていってしまった。
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