勇者たちの朝

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俺は・・・その言葉を聞いた瞬間・・・満員電車の中で唯一自我を保つべき存在である・・・つり革から手を放して社会の窓を閉じた・・・。 ここは礼を言うべきなのか? それともダンディに笑顔の一つでも見せて良しとするか・・・。 いや・・・ここは紳士として礼を述べるべきであろう・・・。 「メルシー・マドモアゼル。」 きょとんとしながら頷く女子高生に、俺は再度笑いかけると、後ろで尻を触っている誰かに言った。 「すまんが、俺の尻はそういう目的の為に存在していない・・・。」 電車が揺れ・・・やっと僕の手が抜けた・・・そして、僕が触っていたであろう男性からの一言が僕の耳に木霊した・・・。 「すみません・・・身動きが取れなくて・・・不快な思いをさせた事を謝罪します。」 「宜しい・・・声からすると若者だな・・・?世間というものは常に罠を用意している・・・気を付けたまえ。」 「はい・・・。」 僕はそう言うと、隣を見た・・・。
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