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ロッカールームから選手達がピッチへ戻って行く。控えの選手がロッカールームの入り口でハイタッチをして気合を入れてくる。
徹平もハイタッチをするべく手を挙げた。そこにはアイマールもいる。
アイマールはハイタッチを交わすと、徹平に向かって「思いを伝えろよ」と声を掛けた。
グラウンドに出る建物の入り口が近くになるにつれ、妙に騒がしくなってくる。
相手チームの他校の選手も妙に興奮していた。
その数人の口から聞こえた言葉は、「ジュニオールだ・・・」という名前だった。
徹平は急ぎ足で外に出る。そして、スタンドを振り返る。
すると、そこには数か月前に別れた憧れの人が立っていた。
「ヘイ、テッペイ!カッテイルカイ?」
そこにいたのは、間違いなくあのジュニオールだった。
「ジュニオールさん!」
徹平は名前を呼ぶとジュニオールに向かって頭を下げた。
ジュニオールも徹平のその姿を見ると、一言、誠一郎を介して言葉を掛けた。
『望みを捨てるな!今、君が望む、たった一つの望みだけに思いを尽くせ』
誠一郎とジュニオールが徹平の顔を覗き込む。
ジュニオールが背負う8番の背番号に手を添えて、徹平は自分の思いを吹っ切るように言った。
「この試合、絶対に勝ちます!だから、美咲さん。俺と付き合ってください!!」
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