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はだけられた胸の中心に清凛さんの唇を受けて、あたしは仰け反った。
やはり全身を支配するのは、激しい嫌悪感だけ。
はだけられたシャツが腕に絡まって、自由に動かないことが、あたしへの戒めに思える。
あたしはこうやって奪われて、ボロボロにされるのが相応しい女だ。
何も考えず、ただ甘え続けてきた報いを、今、きっと受けている。
でも、
「ヤダぁ!」
感情だけは止められなかった。
震え上がるほどの悪寒と、こんなに近くに清凛さんがいてくれるのに、心がすれ違っている孤独。
拘束された腕が痛い。
ただの苦痛に、あたしは涙をこぼした。
そんな資格などないのに。
転んで膝をすりむいて泣く子どものように。
気がつけば誰もいなくなっている、公園に取り残された子どもみたいに。
そこで泣くしか方法を見つけられない。
あたしは誰を、
――探している?
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