始まりの朝

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髪を整えて髭を剃った父がテーブルに座ると、2人で食前のお祈りをしてから食事を始める。 「シーナ、とうとう開業だねぇ。 準備万端なの?」 「最低限の用意はしてるつもりなんだけど…やってみないと分からない所もあるよねぇ」 口の回りにミルク髭を付けたまま話始めたリャドにナフキンを渡しながら答える。 「ミィヤが居たら、何て声をかけたかなぁ?心配性だったからねー」 チェストの上に飾ってある絵を見ながらポツりと溢れる独り言。 さらりと流れるプラチナブロンドの髪 陶器のような白い肌に碧い瞳 しなやかな筋肉をつけたスレンダーな長身 そして穏やかな微笑み 隣に並ぶリャド、2人の前で長椅子に座る幼いシーナと兄のシャイア。 ミィヤは10年前、任務で訪れた村で魔物に拐われた子供を助けに行き行方が分からないのだと父から聞いている。 兄のシャイアは家業の商家を継ぐために、隣国の豪商で修行中。 「兄さんは軌道に乗ったら依頼するから精進しろよって手紙が来たよ」
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