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そして、商人の恐ろしい所は絞れるものはたとえ乾いた雑巾からでも絞りとろうとするところだ。 「それで賃金はいかがなさいますか? 二回目ならば馴れている分、以前よりは楽かと思いますが……」 前回もかなり値切っておきながらユノが市場に(うと)いことにつけ込んで、しれっと小賢しさを出してくる。 「そうですね。では今回はもう少し控えめでも──」 「ちょっと待ったああっ!」 並々と酒の入った樽の栓を抜くように、溜まりに溜まった我慢の栓が限界を迎えて抜けた。 ソリティアはついには祭壇(さいだん)の陰からコルクの如く飛び出し、会話に割って入る。 「あ」 「あ」 二人の視線が彼女に送られ、その後の沈黙はソリティアが隠れていた理由を思い出すのに充分な時間だった。抜けていたのは栓ではなくて()なのだろう。 「…………あ」 明日の朝は早い。
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