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と言うのも、この森で出くわす危険は大きく二つ。盗賊か狼のどちらかになるのだが、まず狼の場合は出くわした時点でもろもろを諦めるしかない。 一匹二匹といった少数ならともかく、奴等は群れで獲物を狩るので、助かるとしたら荷馬を差し出してその隙に逃げるという道しかないのだ。 盗賊も、集団で獲物を狙うという意味ではさして違いはないのだが、しかしこちらは言葉が通じる分話が変わってくる。 例え人の道から外れた身といえど、まだ人ではあるのだ。 神の信徒を襲うという行為に多少なりと心苦しさを覚えるのか、積み荷の略奪こそ逃れられないものの、最低限の人権を汚されることなく見逃された。という話を希に聞くことがある。
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