4-2

2/6
前へ
/322ページ
次へ
手のつけられない難病に、大人達は症状の抑制ではなく被害の切り捨てを選んだ。病にかかった者達を治療するのではなく、隔離することで感染の拡大を防ごうとしたのだ。 そのことを責めるつもりはない。死に至る病を前に及び腰になってしまうのは仕方のないことだし、実際にある程度の効果は得られた。 ソリティアも、被害に遭ったのが赤の他人であれば心苦しくもその対処を受け入れただろう。どうしようもなく、人は非力な存在であると割りきれただろう。 しかし、病は他ならぬユノーを(むしば)んだ。 誰しもが自分は可愛い。ならば、自分よりも尚愛おしい彼女のことを、どうして見捨てることができようか。 大人達からの信頼を利用し、積み上げてきた評価を捨ててでも、教会の部屋に軟禁されたユノーを連れ出したのは必然と言えた。
/322ページ

最初のコメントを投稿しよう!

31人が本棚に入れています
本棚に追加