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彼女を地面に寝かせて脈を取ると、体温が水のように冷たく、呼吸は小鳥よりも浅い。
限界であった。
これ以上の負担にユノーは耐えられない。こんな森の中では、行くにも戻るにも時間が足りない。
「どうしよう、ユノー……ユノー」
彼女からの返事はなく、この期に及んでソリティアは認めざるを得なかった。即ち、もう助からないと。
どんなに神に祈ろうが奇跡などは起きない。二人で歩んでいく未来など永遠に訪れない。望む明日は、冷酷な運命により理不尽にも奪われたのだ。
そっとユノーの手を取り瞳を閉じる。
「ごめんねユノー……」
精霊術は効かない。錬金術の知識などない。ならば、祈る先はひとつしか残されていない。例え神が相手だろうと、彼女を奪うことは許さない。
「あなたの魂を私にちょうだい……代わりに、私の全てをあげるから……」
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