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(りん)とした、しかし燃え上がるような紅蓮(ぐれん)の精霊達が周囲を飛び交いソリティアの意思を()む。 身体中の血を根こそぎ抜き取られたかのような、(ある)いは、全ての細胞が引き裂かれて沸騰(ふっとう)していくような、熱さと冷たさが共存する奇妙な感覚だった。 肉体と魂が剥離(はくり)する未だかつてない虚脱感は、きっと生命が断絶する死の感覚だ。 じわりと滲み出す精神に視界はぼやけていき、激痛の中で意識を取り戻した。 「う……ぐ……」 ユノーを握っていた手は今は握られている。傍らには、これまでの人生で使っていた自分自身の()()があった。 ユノーの魂を奪い、同時に自らの魂を差し出す。魔精(ましょう)術の極地、魂の等価交換である。 自分がユノーの肉体に在るのなら、彼女はそこにいるはずだ。
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