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森の中は相変わらず薄暗く湿っていたが、これが本来あるべき姿なのだろう。 「遠見(とおみ)」の反応に動きは無く、「今宵(こよい)いつか」による幻影の風景もユノーを残して消えた。 ソリティアの後をマフィンとユノーが着いていき、程なくして歩みを止める。なんの変哲もない山道の途中に、まるで行き倒れてでもいるかのようにユノが倒れていた。 (かたわ)らには水精の小瓶が転がり、他には何も無い。枯れた葉と、苔むした石と、取り囲む樹木に僅かな光が射し込むのみだ。 見覚えのある風景だった。 多少時間の経過は(うかが)えるものの全体の配置は変わらない。ユノーに見せられた幻影はここで途切れていた。 こんな何も無いところで、彼女は事切れたのだ。
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