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しばらくの間そのまま動かなかったが、やがてユノが姿勢を正して立ち上がろうとする。彼女の服を掴んだままの手が引かれ、そのまま持ち上がった。
「逃げないので離してください」
思いの外強く握りしめていたようで、手が白く硬直していた。ユノが窮屈そうに身をよじるが、自覚してしまえば沸き立つ感情は泡を立てて震えていた。
「……いや」
「またそうやって──」
「いやだっ! どれだけ心配したと思ってるんだっ」
ソリティアの突然の剣幕に驚き硬直するユノだったが、言葉が、涙が、想いが溢れるのを我慢する気にはなれない。必要もない。
「ユノは知っているはずだっ! 置いて行かれる者がどんな気持ちになるのか! 知っているはずじゃないか!」
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