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思えばノックスの森でもそうだった。
ユノはいつも自分を犠牲にして他を助けようとする。救おうとする中に自身を含めようとしない。
あの日の光景が。血塗れで横たわるユノの姿が脳裏をかすめて口に苦味が広がる。
「お願いだから自分を大切にしてくれ。死に魅せられないでくれ」
しかし、意識を呼び起こしたところでユノの結論が変わった訳ではない。
「……私には、あなたと一緒に生きていく資格がありません」
「あなたじゃないっ! ソリティアだっ! 孤児だった私を助け、ユノがくれた名だっ」
核心がここにある。ユノが悩み、苦しみ、逃げ出そうとした原因が全て集約されている。
だから壊すのだ。新たな世界を望むなら、今あるユノの幻想を全て壊さなければいけない。
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