4-3

12/21
前へ
/322ページ
次へ
思えばノックスの森でもそうだった。 ユノはいつも自分を犠牲にして他を助けようとする。救おうとする中に自身を含めようとしない。 あの日の光景が。血塗(ちまみ)れで横たわるユノの姿が脳裏をかすめて口に苦味が広がる。 「お願いだから自分を大切にしてくれ。死に()せられないでくれ」 しかし、意識を呼び起こしたところでユノの結論が変わった訳ではない。 「……私には、あなたと一緒に生きていく資格がありません」 「()()()じゃないっ! ソリティアだっ! 孤児だった私を助け、ユノがくれた名だっ」 核心がここにある。ユノが悩み、苦しみ、逃げ出そうとした原因が全て集約されている。 だから壊すのだ。新たな世界を望むなら、今あるユノの幻想を全て壊さなければいけない。
/322ページ

最初のコメントを投稿しよう!

31人が本棚に入れています
本棚に追加