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怖くないと言えば嘘になる。
ユノはとても苦しそうだったし、真実はいつも人を傷付ける。なればこそ、虚ろな言葉では届かないと思った。ここで見ない振りをするのは優しさでもなんでもない。
困難から逃げて逃げて逃げ続け、ついには崖の先まで追い込まれ、それでも目を背け続けたのならば再び目を開いた先にはなにも残らないだろう。
「私をソリティアの代わりにしようとしていたな。彼女の影を重ね、私自身を見ていなかった」
ユノは視線を反らし、言い訳のひとつもしようとしない。
「だから、私と一緒にいる資格がない」
「……」
「今までの全てが嘘だった。一緒に笑って、泣いて、時には喧嘩もして、全部が偽物だったって言うんだな!」
「……違っ」
「そうだ! 違うぞ! ユノは間違ってる!」
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