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「どこがどう、大丈夫なんだよ?」
静かに美純は答えた。
「フられるにしろ、フられないにしろ、それが、お兄ちゃんにとって、一番いい結末だってこと」
「……?」
「柳ヶ瀬さんも一生懸命考えて、最終的に、お兄ちゃんにとって、一番いい答えをくれると思うよ」
「……なんだ、それ」
自分にとって一番いい答え?
豪太には理解できない。
遼は、蒼を突き放した。
あんなにあの人を愛していた、蒼を。
……蒼に幸せになってほしかったからだ。皆に祝福されて、普通に生きて欲しかったから……。
人の幸せを、勝手に定義しないでほしい。
遼と離れることで得られる幸せ?
とんでもない! そんなの、いらない。
ただただ、あの人が欲しい。
兄の仏頂面を見て、美純が笑った。
「柳ヶ瀬さんは、お兄ちゃんのこと、真剣に考えててくれてるよ。だって、優しい人だもん」
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