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「夜が明けたらいいって……なんだ、それ。なんのマイ・ルールだよ」
豪太の下に組み敷かれたまま、掠れた声で、遼が文句を言った。
「ごめん」
「また。お前はすぐ謝る。そうやって、うやむやにしようとする」
「うん」
「うん、じゃねえよ。うっ、……重っ」
「ごめん。でも、もうちょっと。もうちょっとだけ」
首の付け根に顔を埋め、首筋に鼻をこすりつけた。
愛しい人の匂いがする。
するすると遼の右腕が上がり、豪太の髪を撫で始めた。
あふれるほどの優しさで。
だがすぐに、はっとしたように動きが止まった。
ぐいぐいと乱暴にかき回し、誤魔化そうとする。
……もう、いいんだよ。
……もう、わかったから。
首筋を強く吸った。
痕がつくように、きつく。
「痛っ」
「遼さん」
「お前、痛いよ。……なんだよ」
「好き」
「どうして、|こんな時(傍点)にばっか、そういうことを……」
「遼さん、さっき、いやがった。入れようとしたら」
「あれは、」
遼の顔が、上って来る血の音が聞こえそうなくらい、赤くなった。
「女じゃねえからっ」
「?」
「お前は信じてないかもしんないけど、最後にお前とやってから、誰ともやってねえし」
豪太は少し考えた。
「おい、」
遼が声をあげた。
「おい!」
「うん」
「何、大きくしてんだよ」
組み敷いたままの遼をぎゅっと抱きしめ、豪太は繰り返した。
「大好き……」
「だから、入れっぱなしで言うな、馬鹿!」
「うん」
遼が呻いた。
内側で、豪太が、どんどん固く、大きくなるのを感じている。
「ば、ばかやろ……」
「僕は、好きな人としか、しないんだ」
豪太は上半身を起こした。
まだ毒舌を吐こうとする口を塞ぐ。
キスの間に、弾む息の合間から伝えた。
「あなたとだけしかやらない。お願いだから、どこへも行かないで。ずっとそばにいて」
猛獣が喰らいつくようなキスが、返ってきた。
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