3年前……

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 初めてその人を見た時、なんてきれいなひとだろう、と思った。  ちょうど、ビルから出てくるところだった。  日差しに目を眇め、ちょっとだけ、眉を寄せた。左手を目の上に当て、降り注ぐ日差しを遮る仕草をした。  長袖のワイシャツを着て、上着は脱いでいる。  足早に歩き出した。  去りゆく背中が、すっと伸びていて美しかった。  「あの人です」 傍らで、太田蒼が言った。 「あの人が、柳ヶ瀬遼。俺の先輩です」 「きれいな人ですね」 言葉がぽろりと口からこぼれ、豪太はあせった。 「いや、その、男性ですけど」 「きれいな男です」 蒼は真面目な顔で頷いた。 「きれいで、傲慢で、人の言うことを聞かない、どうしようもない男です」
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