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「美紗、おはよう。」
会社に来て早々、涼子に捕まって
「おはよう、涼子。」
「金曜日のこと、お昼に聞くから。
心配かけたんだから
ちゃんと全部言うのよ。
分かった?」
「う、うん、分かった。」
「でも、思ったより
元気そうでよかったわ。
いい顔してる。」
「うん。」
「じゃあ、また後でね。」
「お昼ね。」
……全部って、
係長のことは言わなくてもいいよね…
「おはようございます。」
「おはよう。」
係長は何時ものように
眉間に皺を寄せて黙々とクールに
仕事をしている。
昨日とはまるで別人。
皆、係長のことを
クールで落ち着いてて
かっこいいと言うけど、
確かにかっこいいけど、
温かく包み込んでくれる大人で
でも、ときどき子供っぽくて
優しく微笑んでくれる
係長のほうが
……好きだな。
「早川ちゃん、
この見積もりなんだけど。」
「あ、はい。
それは、このファイルに──」
係長のこと気にしすぎ。
ちゃんと仕事しなきゃ。
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