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「早川が料理作って  待っていてくれてるかと思うと  家に帰るのが楽しみだよ。」 「大袈裟ですよ。  そんな大したもの作ってないですし。  でも、喜んでもらえるよう  頑張って美味しもの作ります。」 「ん、楽しみにしている。」 「はい。」 洗い物は係長がしてくれるというから 任せることにした。 ご飯を食べ終わって 少しTVを見ながら話をして アパートまで送ってもらった。 平日の2~3日は 係長の家で料理を作って 一緒に食べるて 週末は 係長の家で 一緒にDVDを見たり 料理を作ったりして過ごした。 係長と一緒に過ごす時間は まるで前からそうだったかのように 自然に受け入れられた。 それだから余計に不安になった。 優しい係長に溺れそうで。 係長は落ち込んでいる部下を 見ていられなくて ただ励ましてくれているだけ。 普通の上司が励ますより ちょっと、いやかなり 過剰だけれども… 今は彼女がいなくても あれだけかっこいいんだから すぐに彼女もできる。 いつまでも一緒にご飯なんて 出来るわけない。 ……いつまでも係長に甘えてられない。 そう思うと心の奥に 何か重たいものが落ちてきた。 ねぜ、そう感じたのかは 分からなかった。 でも、苦手だった上司が 今では思いやりのある優しい人で 上司として好きになっていることは 分かっていた。
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