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花びらが目の前を何回も通り過ぎていく。
時折強く吹く風は、花びらを散らすには
ちょうどいい感じ。
道の端では、花びらの渦ができている。
空は青くさわやかに晴れ渡っているけど、
春にはまだ少し早いため、頬に冷たい風が
あたっていく。
週の初め、気分よく駅へと足は向いていく。
週末は最悪だったのに。
早川美紗 もともと薄茶の髪にはウェーブが
かかっていて結構気に入っている。
色白の肌に小さめの鼻と口も好きなほうだけ
ど、薄茶の大きめの眼が一重なのはあまり
好きではない。
毎朝のアイメイクがあまり上手にできない
から。
短大を卒業後、事務として働いている。
支社だからそんなに人は多くない。
改札を出て会社へと足を動かしていると
後ろから声をかけられた。
「美紗さん、おはようございます。」
半年前から派遣会社からきている江田美加子
だった。
女子力高そうなゆるふわな子で男の人が
好きそうなタイプ。
だけど言うことはハッキリと言う。
入社2年目の美紗にとって、同じ年の美加子
が同じ部にきたことはすごく嬉しい
ことだった。
「おはよう、美加子ちゃん。
今日も元気だね。」
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