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すぐさま勇瑪は宴より抜け出し、目立たぬ格好に変装した。
(紐で茶々丸を縛り上げ、その隙に七星さんを自由の身に!それから私と都で……)
納屋で手頃な紐を手に入れると、勇瑪は茶々丸の家へ向けて駆け出し、まっ暗闇の中、なんとか七星が帰宅してから時間が経っていないうちに着くことができた。
乱れた息を整え、ゆっくり茶々丸の家の中の様子を窺った。
「茶々さま、目が覚めましたか?先程戻りました。気分はどうですか?」
中から七星の優しい声がする。
(いいなあ……こんな風に優しく、『おかえりなさい』とか『いってらっしゃいませ』とか『お風呂になさいますか?食事になさないますか?それとも……』)
卑猥な妄想が膨み顔が緩みに緩んでいることに気づき、キリリと引き締める。
「駄目ですよ、起き上がられては。それに布団まで蹴飛ばされて…」
「だってよぉ、布団が暑くて汗だくになっちまっただ……」
「では、着替えられますか?熱がまだあるのかもしれませんね」
心配そうな七星の声が聞こえる。
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