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途端に七星の目の色が翳り、一気に表情が強張った。
「『世の中を知らなさ過ぎる』『世の中には色んな世界がある』か……確かにそうかもしれねえなあ」
茶々丸はそう言うと、目の前の七星の帯を掴み、力一杯グイッと引っぱった。
七星は声を出す間もなく、茶々丸の背の後ろへと引き込まれた。
「ああ、確かに知らねえ。ただし、知らねえのはナナよりオラだ。ナナは小せえ頃から、今の今まで必死に生きてきた……」
「ふんっ!そんな七星さんを、この私が幸せにしてやろうと……」
「おめえならナナを幸せできるだか?」
茶々丸が七星を隠すように両手を左右に広げた。
「んにゃ……無理だな。おめえにいくら金があろうが、地位や名誉があろうが、逆立ちしたってナナを幸せになんかできねえだよ」
「なっ……」
「オラじゃなきゃ、ナナを幸せになんてできねえだ。オラじゃなきゃ、ナナを幸せにしてやれねえだよ」
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