小鳥の歌は理解できない

18/31
前へ
/33ページ
次へ
勇瑪は目を剥き出しにして怒りを表す。 「ナナは世界でいっとう、オラといることを望んでいるだ。オラと共にこの先も歩んでいくことを……まあ、ナナが心変わりでもすれば話は別だがな」 「ひどいです、茶々さまぁ。そんな意地悪を言って」 拗ねたように唇を尖らせ、七星が茶々丸を後ろから抱き締める。 「私が茶々さま以外の誰かに、心動かされるはずがないのをわかって、そんなことを言うんですか?」 七星は勇瑪を見上げた。 「私は自分の意思でここにいますし、自分の意思で嫁さにしてもらいました。後悔もしていません。今とても……物心ついた頃から今までで一番幸せなんです」 「こんな地位も金もない男の嫁となり、ちっぽけで豚も住めなさそうなあばら家に住んで幸せ?」 勇瑪は辺りを見回しせせら笑う。 「ここには茶々さまがいらっしゃいます。私は茶々さまさえいれば十分です。過分に望みません……今の最高の幸せだけが続けばいい」
/33ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加