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長者様とコロコロ笑う七星を再度見て、勇瑪は奥歯を噛み締めた。
(なんで、あんなくだらん男の嫁が、こんな極上の女なんだ?いろんな意味でおかしいだろ!)
そんな勇瑪たちのもとに、二人が笑いながらやってきた。
「七星さん、都で絵師をしている甥の勇瑪だ。こんなでも、うちの息子よりかはなかなかの腕らしいわ」
「こ…こんなって……ひどいなあ」
肩をすくめる勇瑪に、七星もクスクスと口元に指をあて、楽しげな声を出し笑う。
「もう長者様ったら、またそんな仰りようを……本当はご自慢の甥子さまでらっしゃるのに。茶々さまが教えてくれましたよ」
「ほう……茶々丸のヤツ、何を言うておった?」
長者様は恰幅の良い体の前で腕組みをし、興味深げに身を乗り出す。
(他人をそう易々と信用しない質なのに、どうやらこの茶々丸と七星夫婦のことは気に入ってるようだな)
勇瑪は二人のやり取りを見て、少なからず驚いた自分を見せないことに努めた。
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