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「手伝うって……なにを?」 「患者を運ぶんだ」 ああ、あの死体置き場に運ぶのね……と皮肉めいた言葉をハヤマは真顔で呟いた。 ハヤマはひと呼吸を置いてから取り繕ったようにへらへらと笑って、周りを見渡して仲間に同意を求めるように「なんで、おれ?」と聞き返した。 ハヤマの汚れた白シャツはダボダボで、ところどころ破れている。 破れた布からのぞく肌は、伝染病者特有の痣や浮腫は見られない。 「お前、また勝手に患者を診たんだろう」 「それがなにか」 「お前はもう医者じゃないんだよ。上には黙っていてやるから、手伝ってくれ」 その言葉に少し傷ついた顔をしているのを医者は気付いていた。 「そうだ、おれは医者じゃない。だから、患者を診たなんて勘違いだよ。友人として看病しただけだ。それ以上でも以下でもない」 「お前の腕は知っている。だからこうして頼んでいる」 「べつに助けられたわけじゃない。助けるのなんて無理なんだ。死へ誘う手伝いならいくらでも出来るが」 「患者を運ぶのを手伝ってくれ。治療をやれとは言っていない」
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