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棒読みの声が、エンジン音に紛れて、宛てなく虚空に浮かんだ。
良いんだ。
多分、嘘っぽければ嘘っぽいほど、今の僕たちに似合うんだと思う。
いつもは上空にあるクリクリのまなこが、同じ高さで僕を捉える。
その鼻が、頬骨に当たりそうに近い。
なのに、不思議とドキドキしない。
ジプシーみたいにさ迷う目が、僕の真意を窺っている。
…そうだよ。
ただの、冗談。
嘘ではないけれど、今のセリフは、完全に演技。
…だから、安心して。
心臓とは別に、胸の奥がきゅんきゅん痛んだ。
僕らは、ひとりぼっちなんだよね。
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