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「で?」
ホテルをチェックアウトして、亘のアパートでまた求め合ってから実家に戻ると、なぜか玄関で出迎えたのは雄大だった。
「”で?”って、何。」
よっこらしょとキャリーを持ち上げると、スッと軽くなった。
「部屋に運べばいい?」
「あ、うん。ありがとう。」
靴を脱いでいる間に、雄大はキャリーを持って階段を上がっていく。
「ただいまー。」
リビングを覗けば、母と弟が酔いつぶれて寝ていた。
なんなんだ。この2人はいつもこうなのか?
やれやれと首を振りながら2階に上がり自分の部屋に入ると、雄大が床にキャリーを広げて中の物を出していた。
「美弥姉、このまま寝ちゃいそうだけど、洗濯物は出しておいた方がいいよ。」
「……ありがとう。」
ファスナー式のビニール袋に入った下着を手渡しながら、ほら、なんて言う。
おまえは私のオカンか?!
「ふーん。こんな服着て会いに行ったんだ?」
ハンガーごとキャリーに入れたワンピースを取り出した雄大は、何だか嫌味っぽい。
ちょっと胸元の開いたベージュのワンピースは身体のラインが綺麗に出るから、お気に入りの1着だ。
「今日だってそんな服着て。浅ましいね。」
「は? 浅ましいって、何? そんな服ってどんな服よ?」
思わずムッとして、雄大に突っかかった。
「どっちも胸を強調してる。”浅ましい”が語弊があるなら訂正する。彼氏の心を取り戻そうとして必死だね。」
それはまさに図星で。
亘の気持ちを繋ぎ止めるためには、このたわわに実った胸を利用するしかないと思っていた。
黙り込んだ私に雄大がチラッと目を走らせる。
「確かに美弥姉のおっぱいは魅力的だからね。で? 効果はあった?」
「別におっぱいの効果じゃないけど、プロポーズされた。」
おっぱいの効果がゼロだとは言い切れないな、とは思う。
亘は私の胸を揉むのが好きだし、夕べも喜々として谷間に顔を埋めていた。
そのギラギラした目を思い出したら、ダーッと蜜がお漏らしのように出てしまった。
あー、やばい。
「ふーん。それで盛り上がって、エッチ三昧してきたってわけ。」
ズイッとにじり寄って来た雄大が、いきなり私の下腹部に顔を近づけた。
「ちょっと!」
慌てて雄大の頭を押しやったけど、遅かった。
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