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アメリカ・・・・・
ニューヨークの街は、クリスマスイブの祭典でにぎわっていた。街角に立つクリスマスツリーには色とりどりの装飾がされ、クリスマスソングが包む。そして何より、清らかなくらい白い空から降りてくる雪が、街全体を飾り付けていた。
中心街から少し離れた一軒家。そこに、タリアはいた。タリアは8歳の女の子。元気で活発な女の子。そして優しいパパとママに育てられていた。しかし、パパはもう、フレームの中の存在となってしまった。
『イラク戦争』
軍の兵士だったパパは、その戦争の時にイラクに送られた。そして、腕を撃たれた仲間の盾となって、敵の銃弾を全身に浴びたのである。
けれども、8歳のタリアに、まだそんな難しいことはわからない。ただママから、「パパはとても遠い国に出掛けたのよ。もう戻ってこれない、大事なお仕事へ行ったの。」と、泣きながら言われただけだった。その言葉の意味さえも、タリアはよくわからない。
ただ、パパはもういないんだということだけは、わかっていた。
「わぁー!」
タリアは雪の降る空と外を窓ごしにみて、興奮していた。
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