12月24日

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「ママ、外でていい?」 タリアは、うしろで朝食の仕度をしていたママに聞いた。 「仕方ないわね。少しだけよ?」 ママはにっこりと微笑んだ。 「うん!」 タリアはちっちゃなコート、手ぶくろ、長ぐつをそれぞれ着ると外へ出た。玄関前の雪を手ですくい、空へ向かって放り投げる。  タリアは雪が大好きだった。雪を手でこねてボールにすると、地面に置いてコロコロ転がしていった。どうやら、スノーマンを作るつもりらしい。とても楽しそうだった。  ふと、タリアの足が止まる。 「・・・・・。」 タリアは、家の前の道路で、スーパーのクリスマスイベントを知らせる看板を持った、サンタクロース姿の男を見ていた。その目は、何故か懐かしそうで、どこかはかなげであった。 「・・・・・。」 ママは家の中から、その様子を見て悲しそうにしていた。タリアのあの眼の理由を、知っていたからである。  実は、タリアのパパが生きていた頃、毎年クリスマスになるとパパがサンタクロースの格好をしてプレゼントをくれたのだ。タリアはそれがパパだということを知りながらも、とてもうれしかった。  だが、その姿ももう見ることはできない。
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