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その夜・・・・・
ヘンリーは一人、ベッドに横たわっていた。さんざん涙を流した目は、赤くはれている。天井は、自分に語りかけるようだった。ヘンリーは寝返りをうつ。そこには、マイケルがこっちを見て座っていた。
「ねぇマイケル。私、また一人ね。」
ヘンリーはマイケルに語りかけた。マイケルは答えない。
「・・・ううん、違うわ。」
ヘンリーは首をふった。
「みんながそばにいる。そう言ってたもの。アンナも、ジュディも、ハリーもカールもセレナもキリアも、ダーベル先生だって。みんなみんな、そう言っていたもの。」
ヘンリーは笑顔になった。心なしか、マイケルも微笑んでいるように見える。
「みんな・・・私の胸の中にいる。いつだって・・・私は一人じゃない。」
ヘンリーはささやいた。
「そうよね?マイケル。」
ヘンリーは上を見た。水色の天井がキャンパスになったように、みんなの顔が描かれていく。
そしてヘンリーは、眠りについた。
12月23日の夜・・・
雪はしとしとと、かすれた音をたてて
暗い闇に包まれたロンドンを白く染めていった。
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