第1話

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葛西瑞月23歳、OL。 現在、同期の栞とランチメニューを片手におしゃべり中。 それだけなら、別に珍しくもない日常なんだけど。 今日、栞を誘ったのには、特別なわけがあった。 「えぇ~っ!?別れた!?」 「しぃ~っ!声が大きいよ!」 彼氏と別れた報告に対する、栞のリアクションは想像していた以上のものだった。 念のため、会社から離れたこの店を選んどいてよかった。 知り合いに聞かれたりしたら、話が余計にややこしくなるとこだった。 「信じられない、あんな超優良物件手放すなんて!」 物件って言い方はないんじゃない? 確かに、超優良って言っても言い過ぎじゃないくらい ステキな人だけど。 入社5年目でやり手の工藤さんには、 インターンシップの頃からお世話になって以来、気にかけてもらっていた。 3月の新人研修のときは、1か月つきっきりで面倒見てもらったし。 気さくで尊敬できて、あこがれの人でもあった。 そんな相手と付き合うことになるなんて思ってもみなかった。
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