第1話

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帰り道、栞は家に着くまで、 その話題に触れるのを我慢してくれていた。 聞きたくてうずうずしているのは、 傍にいてものすごく伝わっていたけど。 買って来た食材を冷蔵庫に入れながら、 チューハイの缶を早速開ける。 料理が終わるまでは、待てないってことだよね。 私も同じように蓋を開けた。 しらふよりはずっと、話しやすい気がしたし。 「で?どういうこと?」 最初の一口目をぐいっと流し込んだ栞が、 ちょっと怖い顔でキッチンから振り向く。 「…えっと、」 「あー、ちょっと待って!」 「?」 まだ何も言ってないのに、 いきなり大声で制止された。 どうしたんだろ? 「いや、あの、私あんまり得意じゃないんだよね、人の恋バナ的な?」 「うん」 「なので、できればかいつまんで…」 「あ、うん、わかった」 新人研修で仲良くなった栞とは、 まだ付き合いは短いけど、 いわゆる『女の子らしい』というのとは真逆で。 気さくで、さばさばしていて、 女子特有の粘着質的な部分がない、 とっても付き合いやすい性格。 この手の話が得意じゃないって言うのも、 素直にうなずけた。
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