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「簡単に言うと、…プロポーズされたから断ったの!
で、断ったのに付き合ってるのも変でしょ?
だから別れたってだけで、」
「いや!全っ然、わかんないんだけど?」
話を遮った栞の声が大きすぎて、
剥いていた玉ねぎを床に落としてしまった。
「えぇっ?と、…どのへんが?」
「どれもこれもよ!ってかいつの間にプロポーズされてんの?」
「んー、先週?いや、先々週かな?」
「覚えときなさいよ!記念日でしょー?」
「でも、もう別れたし」
淡々と受け答えする私とは裏腹に、
栞はかなりイライラしているように見えた。
「そうだ、理由!理由を言いなさいよ!なんで断ったの?」
「理由は、んー、そうだなぁ…」
考え込むように組んだ腕にお腹から、
ぐぅ~っと緊張感のかけらもない音が伝わる。
「み~づ~きぃ~!」
「ごめんなさいぃっ!!」
「もういいわ、続きは出来上がってからね!」
「やった!」
作ると言っても、完成までそんなに時間はかからなかった。
二人とも飲む気満々だったから、
おつまみはお惣菜コーナーで調達して、
メインのパスタも、野菜を切って炒めるくらいのカンタンなもの。
手際のいい栞にかかれば、完成まではあっというまだった。
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