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「あの、ど、して、?」
「…経理の佐々木さんに話したでしょ?」
「え?それはだって、栞は友達だし」
「そう思ってたのは、瑞月ちゃんだけみたいだよ」
一体、何言ってるんだろう、この人は。
音は聞こえているのに、
言葉の意味をすんなりと理解できない。
ううん、理解したくなかっただけだった。
だって、栞がみんなに話したって、
そう言ってるの?
わかってるよって言ってほほえんだ、
栞の顔が頭に浮かんだ。
あれがウソだったなんて、
どうしても信じられない。
「うそです!だって、そんなの、」
「佐々木さん、もともと営業志望だったのは、知ってるでしょ?」
「は、はい…」
「だけど、経理に配属されて、
営業に来たのは瑞月ちゃんだった」
「でも、それはっ!」
入社式で配属先の部署が発表された時、
栞は私に「お互い頑張ろう」って言ってくれた。
第一希望の営業部じゃなくても、
経理でも頑張りたいって言ってたのに。
「それだけじゃない、工藤のことも!」
「?」
「佐々木さんは工藤のこと好きだったんだよ?」
「え?」
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