たかこ②

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自分で言うのはどうかと思うけれど、『鳴り物入り』で宮中に上がってきたオバサンの新人だったのだ。 同僚との関係もうまく築けず、敬遠されるばかりの日々。そのくせ、ぎょっとするような身分の高い方とのやり取りに、突然巻き込まれることもある。 一挙手一投足を観察されている、息苦しい生活だった。 そんな私に、声をかけてきた、女。 しかも、通りすがりに。 こんな顔だったかもしれない。 当時はもっとしっかり化粧がされていたとは思うのだけれど。 「あ、大声出さないでね。困るのは貴女だから。私も散々こちらの陣営かと疑われて困ったけれど、貴女も今更こちらに通じていたなんて言われるの心外でしょう」 『こちらの陣営』と、言われて浮かぶ面々はいくつもある。 敵対する者。 すると、腰が座った。 「大きな声など出しません」 「なら、いいわ」 そういって、袂から扇子を取りだし広げた。 新しくはないが、衣装よりはぐんと品の良いもの。どっしりとした松は、金泥で描かれている。
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