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堅物(カタブツ)の見本のような人が、きちきちと尋ねる。
「いったい、どなたでいらっしゃるのでしょう。御用件は何ですか?」
「貴女の敵」
あまり動かない表情が崩れて、その素直さに思わず笑ってしまう。
ムッとさせてしまったようだ。警戒から、非難の眼差しに変化する。
「だけど、今更こちらの敵にはならない」
まぁ、私を駒として遣いたいヒトはいるとは思うけれど、女主(定子さま)の居ない宮中にあまり魅力を感じないのだ。
草の庵でだって、どこでだって楽しく生きられる。
「それなのに、貴女にとっては、いつまでも敵になっちゃうのかしら」
ここで、最大の鍵を。
「『日記』を読んでやって来たの。あまりに言われちゃったから」
非難、困惑、驚愕。
そして、
「清少納言…」
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