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転生、異世界、このフレーズに胸を躍らせていたのは随分と前の話だ。
生まれ変わったら何になりたいか、男なのか女なのか、あるいは人間から外れて鳥になってみたいだとか想いを馳せる人もいることだろう。
丁度そんなことを考えていた時期が青春のハシカのような物を拗らせていた時期だ。
闇を愛し闇を嫌う、そんな矛盾すらも自分の中で肯定し続ける、訳のわからない底知れない考えを持つ自分がかっこいいとか思っているちょっとアレな人種だった。
その時考えた、もしも転生して異世界に行ったなら。
~*~
「んぅ……」
木漏れ日射すのどかな林道の脇、心地よい風が吹く静かな場所だ。
いつの間にこんな場所で寝ていたのだろうか、身体を起こしてみるといたるところに草がくっついている。
携帯で時間を確認しよう、腕時計は邪魔になる事が多いから着けない主義なのだ。
「あ……れ?」
携帯が無い、それどころかあるべき場所にポケットが無い。
しかし見覚えのある服ではある、昔描いていた絵がこんな感じの服だった気がする。
黒いローブ、袖にはナイフ、そしてローブの中は露出の高いワンピース。
「一旦深呼吸して落ち着こう、スーハー、スーハー」
俺、何で女装してるんだ。
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